街道を歩きたい!何から始めるべきか?初心者におすすめのやり方とはじめ方を解説!
「街道を歩く旅」は街道を通じて「非日常」を体験し、かつての宿場を通じ疑似体験をする。
時代をさかのぼることで、そこに「非日常」を感じる。
街道という歴史の空間を移動し、日常とは違う時間を過ごす。
ひとりの旅人のわたし。街道を歩いていたら、いつしかた時代の旅人になっていた。
いつしか懐かしさをおぼえる旅をしていた。
さあ、そんな時間旅行をしましょう!
というわけで、以下チョットした街道歩きのガイダンスです。
街道歩き初心者の計画(Plan)と運び!
まずは歩きたい街道を選んでみましょう。
五街道(東海道/日光街道(日光道中)/奥州街道(奥州道中)/中山道/甲州街道(甲州道中)をはじめ、全国には数えきれないほどの街道があります。
その中から歩いみたい街道を選びましょう。
決まったらその街道に関した情報を集めましょう。
街道を歩くためにはそのルートは勿論、関心のある諸々の情報を収集をしなければなりません。
はじめは、情報量の入手が容易な街道がいいでしょう。
最も知名度のある「東海道」は情報量も多く、初心者にも人気です。
近世交通史の第一人者・児玉幸多監修の分冊リーズ!
例えば東海道や中山道といった著名な街道は、歩くことを専用に作られた地図付きのガイドブックがたくさん出ています。
歩きたい街道で何らかのガイドブックがあるのなら、まずはそれをそろえましょう。
ただし市販されているガイドブックの多くは五街道に関するものが主流で、脇街道や地方の小街道になると俄然少ないです。それも概説書が多く、街道のルートまでしっかり解説したものは稀です。
また情報には「一次情報」と「二次情報」があります。一次情報がオリジナルの情報であるのに対し、二次情報は一次情報をもとにして解釈や分析を加えた情報ですので、そのあたり要注意です。
その面で街道を歩くときに役立つのが、各都道府県ごとに刊行されている『歴史の道調査報告書』(編纂・各都道府県教育委員会)です。 刊行年がいささか古いですが基本資料としては申し分ありません。ほかにない貴重な情報源です。
*『歴史の道調査報告書』
文化庁が昭和53年(1978)度から「歴史の道」調査事業を、「歴史の道」整備事業として開始。各地の教育委員会などによって「歴史の道」の調査が行われた。
各都道府県が圏内の街道を調査した報告書で、地図上のルートや史跡のあり場所などが入念に記されています。装丁や体裁など各都道府県ごとに異なっています。地図が付属されているので助かります。
地方の街道を歩く時の必読書となるもので、この本がなければ地方の小街道は到底歩けないでしょう。
ただし、歴史の道調査報告書が作られていないところもあります(北海道・広島県・京都・神奈川県)
この本、今では入手が困難です。絶版になっていますので古書店(割と高価)で買うしかありません。図書館で探してみるといいでしょう。大きな図書館、県立の図書館でしたら必ず備えてあります。
地方の自治体によっては地元に残る街道の歴史に力を入れ、案内書や冊子を作っているところもあり、思いがけないものを入手できることがあります。
歩く街道筋の自治体にお問い合わせしてみるといいでしょう。
ついでに、
各自治体サイトの観光課・各自治体の歴史博物館・各自治体の観光協会などをあたるといい回答があるかも知れません。
ここで『歴史の道調査報告書』の先がけともなった街道歩きのバイブル
街道歩きガイドの原型を成した名著をご案内します。
2万5千分の1地図に旧街道が朱線で記され、道中が把握しやすい。このスタイルの火付け役となったもので、解説は一級です。写真は古いですが、却って編纂時を伝える貴重な資料となっています。重量もさりながら圧巻の書です。
地図が古いという人もいますが、初版の復刻であるためです。
しかしながら道は変貌します。
当時の道筋をていねいにあおってくれているのが、この本の特色です。
今昔を対比しながら読まれることをお薦めします。
実際に歩く時は、現在の道路地図も合わせて持参しましょう。
どれか一冊を丁寧に読むことを推奨します。それによって街道の歴史や街道のシステム、付属する街道用語などが自ずと把握できるでしょう。
街道と街道にまつわる歴史の情報に限った案内書であり、今日のガイドブックにあるような宿泊や食事処などの情報は案内外のものとなっています。
今井金吾の名著、初版本の復刻!五街道網羅。
後にも先にもない、今では古典です。街道を知る読み物としてもおすすめします。
今井金吾著『今昔東海道独案内』
今昔東海道独案内 (東篇) )・(西篇)ちくま学芸文庫 で文庫化されています!
分厚い書籍が文庫にギュッと!携えやすくなりました。西篇の解説は小生。
今井金吾著『今昔中山道独案内』
今井金吾著『今昔三道中独案内』
情報整理と集約作業
情報を集めたら街道に沿って関心のあるものを順次、取捨選択、適切に整理しましょう。
情報は収集することが目的ではなく、実際に歩くことを目的に、収集した多くの情報をふるいにかけるようにしましょう。余程の余裕がない限り、あれもこれも取り入れるのは避けましょう。
街道歩きの立ち寄りたいところ、見どころなどはあらかじめ調べておくといいでしょう。
寄り道や見学箇所が多いほど距離や時間や日数も増幅し、さらに実際時の費用にも大きく影響してきます。
そのあたりのことも考慮に入れながら整理しましょう。
情報の選別は、人それぞれで、知識や関心度、好奇心、熱意などで優先順位が異なってきます。
ガイドブックの情報だけに頼らず、自らが集約した情報も組み入れたものにしましょう。
自ら集めた情報の隙間から新しい発見があったりします。
街道にはそれぞれ個性があります。道筋の地域や宿場の歴史や特性などを少しひもといてから訪ねると、ちょっと違った景色に見えてくるかもしれません。
街道歩きの実践プランニング
情報を整理し街道歩きの大枠が決まったら、街道の総距離をどう歩くか具体的なプランニングに入りましょう。
その街道の総距離を算出しましょう。これを何回で歩くかが極めて重要です。
まず一日でどほど歩けるか距離を確認しておきましょう。
ここでいきなり気負った設定をするのは禁物です。最初は無難で容易に歩けると思われる目標値を設定するのがよいでしょう。歩き慣れてゆくなかで無理なく距離を伸ばしてゆくのがいいでしょう。
最後に街道の総距離を一日d歩ける距離数で割ってみましょう。おおよその区割り・回数の目安が推計できます。
ただし、これはあくまで歩行に限った推算になります。
薄情な言い方ですが、街道歩きでは基本、どう歩くかはすべてあなた次第です!
自己が満足できる街道歩きのための日程表を立てましょう。
歩ける距離の許容範囲によりますが、大きくは、一気に通しで歩くか、何回に分散して歩くか、ハイライトだけを歩くかなどに分けられます。
ここからは道歩きの醍醐味である街道の始点~終点までを踏破する想定で記してみます。
またその街道のどこをどう充実させるかの好みや選別によって、
- 街道の歴史や史跡などを見て回ることを重視する。(巡覧型)
- 街道の踏破を目指しひたすら歩くことを重視する。(踏破型)
- 街道歩きを程よく満足さたい、バランス重視する。(折衷型)
などにわけられます。こうした志向の度合いによっても歩く日程は大きく変わってきます。
ここのところをどう想定してプランを組み立てるのかが重要です。
どこで、どういうスタイルの宿泊をするか!宿屋さがしの旅苦労と旅のあじわい!
街道歩きは通常の観光地の旅と大いに異なります。
まず宿です。「どこにもあると思うな旅の宿」が基本です。
江戸の旅は「宿場」にある旅籠(はたご)に泊るのが基本でした。
往時の宿場だったところに今でも旅籠の建物が旅館として営まれているところもあります。だがこうしたところは稀です。
こんなところに泊まることができたら幸い。街道歩きの醍醐味というものでしょう。
宿場といわれるところに通常で思い描くような宿はない思ったほがいいでしょう。
このように街道歩きでは泊まれる場所が極めて限られてきます。 そこへ一日のゴールがうまくはまるように計画を立てるのがベストなのですが、なかなかそうは行きません。
一日のゴールとする付近に泊まるところがあれば申し分ないのですが、そうは問屋が卸さないところが多いです。と言って、諦めるわけにはゆきません。
ゴール地点に宿がなくその前後に見つかるなら若干の差異は出ますがそこをゴールにしましょう。
それでもなお見つからない場合は、交通機関を利用し泊まる場所のある所まで移動を迫られます。
そうした面からも、ゴール地点に交通アクセスの場があることも望ましいわけです。
回を重ねて歩くときはゴール地点が次なる始点になるので、そのあたりの総合的な兼ね合いを十分に吟味する必要があります。
街道歩きでは最悪のことがないとは限りません。
昔の旅は最悪が野宿でした。
木賃宿(きちんやど)というものもありました。そんな時代の旅もあったことを思い、選択肢としてゲストハウス、カプセルホテル、サウナ、スーパー銭湯、ネットカフェ、カラオケボックスなども今日的な宿と考えてみるのもいいでしょう。わたしも3つ4つはよく利用します。
地方の街道を歩くときは、宿探しに四苦八苦すること度々です。
そうして、やっととれた。それもまた街道歩きならではの旅の一夜なのかもしれません。
*木賃宿 旅人の持参した米を、薪代を払って自炊(または炊いてもらう)させ泊めた宿屋。「木賃」とはこのとき使用する薪の代金。 宿泊の本来の姿だったが庶民の旅が盛んになるにつれ次第に旅籠屋が増えた。一般に粗末な安宿とみなされたもの。
街道の基礎知識を携える!
街道には街道だけの専門用語が多くでてきます。
そうしたものを予備知識として備えれば、街道筋をよりいっそう深く楽しむことができます。
すんなりタイムワープできるでしょう。
日本交通史の権威・児玉幸多の分かりやすい概説書!
宿場と街道に関する事柄が詳しく説明されています。
入門としてふさわしい内容で、一般のガイドブックにはないようなことまで詳しく述べられています。
街道の踏破を目指しひたすら歩くことを重視する。(踏破型)はともかく、大概の人は、街道筋の史跡や遺跡、寺社や宿場遺構などを見て歩くのが主としたものになるでしょう。
ところが、そうした場所に必ず説明板や案内板があるとは限りません。
事前の情報がないと見過ごしてしまうものも多々あります。
また、見つけにくいものがよくあります。移動されていたり廃棄されていたりもします。ひろい集めた情報にない、ま新しものもあります。
宿場によっては年代を感じさせる建物が多く残っています。
そんなとき、建物の特徴なども知っておくと宿場歩きが一段と楽しめるでしょう。
寺社や仏閣などもそうかもしれません。
街道歩きの旅をより快適で愉楽でアクティブなものにする!
街道を快適に快歩するには実際いろんな要素がからまりますが、ここでは歩きのシーンで快適さが助長されるであろう事柄に絞ってステップバイステップで解説していきます。
歩くシーズン
一般的に真冬や真夏は避けたほうがいいでしょう。
梅花が芽吹く3月~風そよぐ5月、残暑も過ぎた9月~紅葉の11月中旬ころがベストシーズンといえるでしょう。
昼間が短い冬。日中の長い夏。季節によって歩ける距離に違いが出ます。このあたりも考慮したプログラムを組むといいでしょう。
寒さに強い人であれば、真冬でも雪さえなければ快適に歩けるでしよう。
降雪も季節ならではの情緒がありますが歩くのは禁物!これは浮世絵の世界だけにとどめておきましょう。
お祭りと行事
街道沿いの祭礼や行事の期日に合わせれば、街道歩きが一段と弾みのあるものになる。旅程に組み込んでみましょう。
茶屋休憩と名物・うまいもの
昔も今も旅の楽しみは土地々の名物を食べること。
昔の街道には宿場茶屋・立場茶屋・峠茶屋といった休憩処がありました。
今でも昔からの伝統を受け継いだ老舗の土産もの屋や名物を提供するところがあります。
こうしたところで昔の旅人が足を休めた旅情も一緒に味わうといいでしょう。
事前に情報取集ができるならやっておくと旅の楽しみにもなります。
*立場 「たちば」ではなく「たてば」。 宿場と宿場の間にあって、旅人や人足、駕籠かきなどが休んだ場所のこと。
山坂、峠など標高差での苦労
街道によっては山坂や峠があったりします。こうしたところは歩きにくいところもあって平地での歩行速度と大幅に差が出ます。事前にチェックして道程の苦労を調整しておきましょう。
たとえば、五街道の「日光街道」。多くは平地で山、坂、峠がありません。その面で初心者にふさわしい街道といえるでしょう。お薦めです。
実際に歩く~DO&GO~前の心がけ!
「さあ、今日から街道歩きをやるぞ!」そう思い立ったあなた。
どのくらい歩くつもりですか。
はじめの日は気合が入るものです。
しかし、肝心なのは気合を入れすぎない、無理をしないことです。
継続は無理をしないことです。街道歩きは心身ともに継続を約束した運動でもあります。
何もいちどに欲張って歩く必要はありません。
今回はたくさん歩いて、次回は少なくといったように、その時々の体調や心の余裕をもって目標とするところまでを達成するのでもいいわけです。
また、目標に縛られすぎるのもいけません。一度くじけるや歩く意欲がそがれるケースもあるので、無理せず程々に、あまり時間と競わず、常にハッピーなコンディションで自分らしく歩き続けることを第一にしましょう。
お節介ですが最後に「あなたらしく、目標を持った歩き方」のススメ!
ついでに趣味や特技を生かして歩く
わたしが講師をつとめていた「毎日新聞旅行社」の「街道歩き」に長年参加していた高橋女史。
高校で英語教師をしていたという彼女。
俳句詠みが好きで、さらにスケッチを得意としており(彼女は趣味の素人芸といってましたが…)、街道を歩きつつこのような形のもの↓をまとめました。
日本の伝統である俳句の季題感を墨絵のスケッチで補足し、俳句を英訳つきでまとめているのが彼女ならではの至芸といえるでしょう。
いまのところほかに類書のない一書のようです。
自分の「好き」とか「得意」とか「趣味」といったものを総合的にオリジナルな形で表現しているところがいいですね。
2冊目が「奥州街道」でした。
日本橋から青森県津軽半島の三厩まで(約900キロ)、3年間の旅のエキスが、五・七・五の中につまっているわけです。
それがまとまり出版されました。日光の「金谷ホテル」では外国人に評判の一書になっています。
せっかくなら歩いた軌跡を自分らしく記録してみるのもいいでしょう。
街道歩きには高速バスや夜行高速バスをまく利用すると思いのほかの時間が捻出できます!
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