桃の節句の雅やか。雛,雛,雛、お雛様であふれる雅叙園「百段階段」の雛まつり!
目黒での予定がドタキャンになったので、ついでに近くを散歩。雅叙園の「百段階段」で開かれている「百段雛まつり」に行ってきました。あの長階段は足腰にいいですね!100段というが実は99段。
昭和19年(1935)に誕生した雅叙園の中で、ただ一つ現存する木造建築。
天井や欄間などの装飾や趣向が豪華絢爛な7つの部屋。それらを99段の長い階段廊下がつないでいます。
人はそれを「昭和の竜宮城」と呼びました。(国の登録有形文化財)
階段の下側から見ると趣向の異なる7つの部屋が連続しています。
1棟の建物のように見えますが、実は斜面に建てられており、4棟の建物を階段や廊下でつないだ建築構造になっているものです。
その「百段階段」を舞台にした「百段雛まつり」。
初開催が平成22年(2010)で、今回、4年ぶりの開催といいます。
ともかく空前絶後の雛人形展です。
というわけで、以下そんな模様を写真と拙文でお届けします。
春爛漫[桃の節句」のひな飾り。部屋(間)ごとに今昔さまざまな雛の景色が展開します!
「十畝(じっぽ)の間」
「立雛」や「古今雛」など豪華ひな壇。
漁樵(ぎょしょう)の間
福岡県飯塚市で毎年行われる「いいづか雛のまつり」。
筑豊の炭鉱王・旧伊藤伝右衛門邸の座敷いっぱいに飾られる「座敷雛」。
葵祭りや平安の景色など、京の雅をテーマにしたもの。
座敷いっぱい。「座敷雛」。にぎやかで華やか。異空の間の世界に誘われます。
絢爛豪華な壁画。
桃の節句、端午の節句、七夕、重陽など節会が描かれている。
草丘(そうきゅう)の間
「うしくのひなまつり」。茨城県牛久市の伝統『吊るし飾り』が華やか。みんな手造り。
女の子のすこやかな成長と幸せを願う吊るし飾り。
家族や親戚が一針一針刺して縫い上げた。初節旬のお祝いとして贈る風習から生まれたものという。
創作雛。鬼さんのひな祭り。どんちゃん騒ぎ。
静水(せいすい)の間
「清湖雛物語(せいこびなものがたり)」と謳った世界。
琵琶湖を中心した自然の敬意や賞賛を表したものとか。
湖のブルーを基調とした雛。木々の緑、桜のピンク。ゴージャスな雛飾り。
清方(きよかた)の間
美人画の大家、鏑木清方(かぶらき きよかた)手がけた茶室風の室。
扇面形の杉柾板に四季草花。
その「清方の間」に猫雛とはニャー。何ともニャー。
どこから見ても清方ですね。
ぎゃひゃひゃ~だニャー。
この格好、なんニャーン、ニャーン。
建具、組子、天井、細心の造り。
星光(せいこう)の間
ミニチュアのお雛様とひな道具。小さくも本格的な造形に見入ってしまいます。
川内由美子コレクション。
華やぎのある格天井。
ダイナミックな組子。
頂上の間
ここが最後の間。大小の手毬が華やぐ。
なんとも愛らしい手毬。
優美な格天井。見飽きないけど、首がつかれる!
陰影。光と影。この調和!
吊るし手毬の影が妙な造形を欄間に映す。
百段雛まつり ・2024
開催期間:2024年1月20日(土)~3月10日(日)
会期中無休
まとめ
思いがけない「雛めぐり」散歩。
お雛さまはビジュアルですね。
目に快い刺激をもらいました。
そのせいでしょうか、瞼のうらに、昭和の故郷の、うすぼけた幼い頃の記憶が蘇りました。
座敷の床の間で、埃をかぶってほったらかしになっていた雛人形。
首や手がもげたり、衣装が擦り切れたりしたものばかり。
顔立ちのいいお雛さまでした。
父母が東京(高輪)暮らしの時、子供たちのためにそろえたもので、貧しく忙しかった中でも、こういうことは、ちゃんとやってくれてたわけですね。
端午の節句の兜飾りもありました。
継ぎはぎのある鯉のぼり。鯉の口からもぐり込んで戯れた記憶。
いま思えばどれも我楽多のようなものでしたが、どれもこれも、子供時代ではより集めの遊び道具でした。
とんだことに、豊川稲荷(母が熱烈な信者)の神棚のお狐さんを持ち出し、首を折ってしまい、こっぴどく母に叱られた。
「祟(たた)るよ」の姉のコトバは今でもじゅうぶんに効いているみたいです。
貧しかったけれども、どこか幸せがあふれていた昭和の豊さが、思いかえされます。
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