歩くチカラと継続のチカラが力まず相応に養える街道歩き旅!
街道歩き
「街道歩き」といコトバ。誰もがどこかで耳にしたこがあるでしよう。
ご存じの東海道・中山道はじめ、全国に数ある旧街道を徒歩で旅するという、旅スタイルの一つです。
街道を歩いて旅する。昔の人が当たり前にやっていたこと。
いま、俄然、街道を歩く人が増えてきています。
団塊の世代が定年退職し始めたここ数年で裾野が広がったようです。
会社をリタイアしたとはいえ、気力も体力も充分の団塊世代には、これからの自己の心と体を活性化するうってつけの運動スタイルです。
コロナ禍でその傾向にさらに拍車がかかってきたようです。
歩くことは誰でも手軽に、いますぐにでもできます。
旅する過程そのものを楽しみながら、自分の足で歩いて旅をするウオーキングトラベル。
一回々次なる町まで歩を進めていったときの感慨。自己の足で歩いて到達する旅の達成感はなかなかのものです。
今井金吾著『東海道独案内』名著の文庫本化!昭和と今日の街道の今昔対比に必携の書!
文庫本を携えて街道歩きの旅に出よう!西篇の解説・担当しています!
街道
ここでいう「街道」とは、近世以前に整備された道路のことを指します。
『東海道』や『中山道』などみなそれです。
日本全国には主要な街道を含め100以上の街道があります。
その成り立ちや歴史の色合いもさまざまです。
それぞれの街道に固有の歴史が詰まっています。 有名な史跡や社寺仏閣などもたくさんありますが、そうじゃないものでも魅力あるものが数多あります。
街道歩きは、そうしたバックグランドや風景を楽しみながら、徒歩で旅する新しい旅スタイルです。
街道の歩き方
ごく一般的な歩き方は。
スタートからゴール地点まで歩いて、次回はさきのゴール地点から先を歩く。
といったもので、基本ロングウオーキングです。
長い街道は1回で踏破するのは難しいので数回に分け、連日、または複数日を重ねて歩き、街道の最終地点までこぎつけます。
一回ごとの歩き方が「尺取り虫」の連動に似ているところから、わたしなどは「尺取り虫方式」と呼んでいました。
ゴール迄の日数や一日に歩く距離などは、歩く人の体力や道中の関心度により千差万別。
1日ひたすら歩く人もいれば、距離は短く、じっくり道中を観て歩く人、寄り道をする人など、 ペースは旅の目的や興味や体力に応じ人それぞれです。総合的には楽しみ方も人それぞれ。
そんな諸々を加味し差し引きし、街道の総距離数を一日に歩ける自己ペースで割ると平均回数になります。
例えば「東海道53次」と呼ばれる東海道。一日15~25キロのアバウトなペース歩くと京都(日本橋~京都三条大橋まで492キロ)まで、20~30回ほどで歩けるでしょう。
風景も人情も自己の目線で歩く「道中」旅!
街道の旅は観光スポットを点として巡る旅ではなく、歩いてめぐることで点と点がつながり、そこから新たな視点や、温故知新といった発見などが見えてきます。
歩いているからこそ気付けるものがあります。想像にも空想にも妄想にも自由にひたれる。
旅する過程そのものを楽しみながら、直に町々の人とふれあい、自分の足で歩いて旅をする。
「道中」というコトバがあります。街道にピッタリのコトバです。たどり着くまでの過程。道の途中を楽しむ旅。街道歩きの旅はまさに「道中」そのものが主題の旅なのです。
自分の好奇心や関心度のままに自由に移動できます。
広重の浮世絵も目線の風景としてリアルに味わえます。
だれかが言った。歩き続けていたら旅をしていた、と。街道歩きの醍醐味ですね。
途中で通過する町々のすべてにふれあえるのも街道歩きの秀でた楽しさです。
また、時空を超えた旅ができます。過去の歴史や事件、当時の人々の想い等に寄りそうことができます
街道の歩き旅は風景も歴史も人情も自己の目線で歩ける旅です!
人それぞれ,一人一人の楽しみ方を見つけることができるでしょう。
街道歩きと「付加価値」。健康のために歩くのもいい。歩くと健康になる。健康だから歩ける。その喜びに耳を澄ます!
江戸時代に説かれた、儒学者・貝原益軒の『養生訓』。今日でも通ずるものがあります。しかし、そこに「歩け」という訓戒は含まれていません。
江戸時代は歩くことがごくあたり前でした。
養生のためくらいはあっても、健康のために歩くことはありませんでした。
伊能忠敬も松尾芭蕉も弥二さん喜多さんだってみな旅は歩きでした。
でも、今日的な社会背景からして、健康のために歩くというのもいいでしょう。
大方の人は、健康でなければ歩けないことに気づくはずです。
日ごろの疲れやストレス、悩みなどが、どこかへ吹き飛んでしまうことも実感するでしょう。
街道は歩き始めると不思議なものでだんだんと距離を伸ばしたくなります。
最初はいっぱいいっぱいだったのが、いつの間にか普通に歩けるようになる。
そんなことが喜び嬉しさになり心の癒しにもなる。
そこからまた元気がはじまる。
そういう人をたくさん見てきました。
そしてみなさんが一同にいう。 歩くと健康になる。健康だから歩ける、と。
その喜びをずっと継続する。
歩いて健康を手に入れるには継続が大切です。
継続こそが歩くチカラになる!
「歩いてみたら意外に歩けました」
「最初はかなりきつかったけれど、続けているうちに、だんだんそれほどでもなくなりました」
街道を踏破されたという方がみなおっしゃることです。
そして圧倒的に、何回かに分割しながら継続して歩かれる方が多いということです。
最初は「歩けない」とこぼしていた人が、いつしかシャキッとし、見違えるようになり、最後には有終の美をかざる。
ひとつの達成感が次なる意欲につながるようです。
よく「ハマリました!」という声を聞きます。
何がそうさせるのか。個人差はあるでしょうが、ひとつの達成感が継続のチカラに及ぶのでしょう。
だれかが言いました。「麻薬ね!」。「まるでマジックにかかったよう」でしたと。
気軽に始められ、自分の趣味趣向によりさまざまな楽しみ方ができる。それも「街道歩き」の醍醐味です。
思い立ったらはじめてみましょう!気のきっかけで気軽に始められる。気軽にはじめた、それが思いがけない趣味になったりする。
街道歩きの旅は、特別な観光地でないごく日常的な普通の町を歩くことが多いです。
そんな町々でなにごとかを発見しながら歩く。歩いて旅をすることの醍醐味は目から鱗の発見です。
好きは人それぞれちがいます。自分が好きなことは何か。夢中になれるものは何だろう。
街道の道中を通じてそうしたことをドンドン実践してみる。
好きなことは熱量が違います。心から楽しいと思えていないと「続けたい」という気持ちが湧かないもの。続けたいという心地よさは精神的にもいいものです。
とにかくやりたいこと。やってみたいことを実践してみる。
どんなことが好きか、何に関心があるか。道中で教えられることもある。
それらを習慣化させる。そうすることによってそれが歩くテーマにもなったりする。
複合的な楽しみ方ができるのも「街道歩き」の特色です。
自分がやりたいなと思うことをきっかけとして始めてみることをおすすめします。
文化庁選定「歴史の道100選」
旧街道を歩いて日本の自然や文化を肌で感じたイザベラ・バード!我々もまたそのように感じながら、歩きたい!
中山道の木曽路。妻籠・馬籠に海外から多くの街道ウォーカーが訪れています。日本人より外国人が多い時があるとも聞きます。
日本の古い道を歩くことで土地の自然や文化を肌で感じることができることが理由のひとつだという。
昔の日本が好き。特に伝統的な田舎の日本が大好きで、なるべくそのようなところを歩きたいと思っている、とみなが口癖にいう。日本人以上に関心が強い。
「温故知新」や「タイムスリップ」体験をしたいと思っているらしい。
それが妻籠と馬籠でできる。歴史的な町並みと雰囲気を残し、昔の田舎風情もあって、とてもふさわし場所になっている。
幕末・明治の時代。欧米から多くの外国人が日本を訪れ、滞在し、各地を旅する中で、日本と日本人の姿にふれ、西洋とも、またアジアの他の国とも異なる価値を発見していきました。
彼らは、それら日本での記録を日記に残し、旅行記として出版したり論文として発表するなどして、日本の姿を世界に発信していきました。
その第一人者の一人が英国女性のイザベラ・バードといえるでしよう。
彼女の来日は明治11年(1878)。
日本がまだ江戸の原風景を色濃く残していた時代。
東京での滞在を済ますと東北・北海道の旅に出発しました。
私の旅行コースで、日光から北の方は、全くのいなかで、その全行程を踏破したヨーロッパ人は、これまでに一人もいなかった。西欧の影響を少しも受けていない地方で、私は、日本人とともに暮らし、日本人の生活様式を見てきた。女性の一人旅であり、私の旅行した地方には、初めて西欧の婦人が訪れたというところもあり、私の得た経験は、今までの旅行者のものとはかなり大きく異なるものがあった。
『日本奥地紀行』(高梨健吉訳/ 平凡社ライブラリー)
その旅のルート(旧街道)のあらましをひろってみましょう。
東京~(日光街道)~古河~(栃木街道)~栃木~(例幣使街道)~今市~(日光街道)~日光~(会津西街道)~大内~(越後街道)~津川~(船)~新潟~(船)~木崎~(北陸道)~中条~(越後米沢街道)~ 羽州街道 山形 秋田 青森~(船)~函館~(札幌新道)~森~(船)~室蘭~(札幌新道)~苫小牧~(日高街道)~平取。東京⇒平取まで陸路で約1400キロの旅。
その旅を記録したものが『日本奥地紀行』((原題:Unbeaten Tracks in Japan)。
旅行者イザベラ・バードなりの体験や価値観、情報量などが満載の日本紀行。
彼女のような眼差しを糧に今の街道を歩くのもいいですね。
街道にはいまでも古き良き日本の原風景に出会えるような楽しみがあります。
『日本奥地紀行』の旅を追ったガイドブック!
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